4ヶ月遅れのライオン
以前に書いたテキストの焼き直しです.
先日,先生にすすめられて,Hal R. Varian先生のペーパー*1を読みました.自分の立ち位置と,進むべきところを再確認できたよい機会に接したように感じます.そんな折,このテキストをみつけたのでした.昔の私から,少しは進歩できているのだろうか…などと思いながら.のちに,これに対応する(すなわち,自身に回答を与える)テキストを書き綴ったのですが*2,それでもまだ,(自分にとって)未解決部分は残っているきがするのです.いまも,それらへの答えを探す旅にでています.
以下の本の微妙なネタバレを含みますので,避けたい方はご注意ください.
- 作者: 羽海野チカ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2008/11/28
- メディア: コミック
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――溶明.何も,ないことに,気付いた.
* * * *
羽海野チカ*3『3月のライオン』1〜2巻を読了した.読後感は……,宮部みゆき『名も無き毒』*4を読了したときに似ている.あるいは、同じく宮部『ブレイブ・ストーリー』*5の上巻,その中盤の,あの絶望感.足もとにあったものが,がらがら音を立てて,崩れさってゆくような.
『3月のライオン』についていえば,それらよりもまだ粗削りに感ぜられるものの,希望が,想いが,手のひらの僅かな隙間から毀れてゆくような,圧倒的な絶望がそこに描かれている……気がするのだ.
実は私,「ハチクロ」を読んでいないのだ.どうなんだろうか.アニメ化された当時,親密な関係にあった方が大好きだったようで,よく台詞を使っていたけれど,いまでは良い思いでである.ただ,何となく恋愛モノの側面が強いような気がして,忌避したという経緯があった.けれど,これだけの描写をされると,「読んでみようかな」と思わされてしまう.
「勉強しろよ
してねーのわかんだよ
わかってるけどできねーとか言うんならやめろよ!!
来んな!!
こっちは全部賭けてんだよ」
「逃げるならっ
逃げれるくらいなら
なんで…」
ほんとうに,なんでだろう.私は,いまなにをしていて,なにができるのだろうか.好きなことに,打ち込んでいる? それは,学問を盾にした逃避になっていないだろうか? やりたいことをやっている,しかし,自分でも気づかないうちに,それに逃げ道を作っていないだろうか.
……いま,私は,全部,賭けられているのだろうか.
「好きなことをしっかり追い求めていくと、本物と偽物を見分ける力も付いてくる。いつも大声を出している生徒や、賢いふりをする生徒がいる。きっとそういう人たちは、自己主張が好きで、プライドが大事なんだ。でも、自分の頭を使って考える習慣があって、本物の味わいを知っているなら、そんな自己主張は要らない」*6
――溶暗.