7月33日になりました.
8月? そんなものは きーこーえーなーい
セミがうるさいですね.こんにちは.最近よんだ本やら,論文やら,そこからの自分の下らない思考をまとめてみようのコーナー.誰得.自分用メモだから自分が得するんですけどね*1.
Free to Choose: A Personal Statement
- 作者: Milton Friedman,Rose Friedman
- 出版社/メーカー: Mariner Books
- 発売日: 1990/11/01
- メディア: ペーパーバック
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本書をよむかぎり,フリードマンせんせいのもともとの考えは,「価格」という(市場が発する)シグナルが正しく伝達されるならば,そのシグナルをうけたひとびと(価格受容者)は適切に動くであろうから,価格シグナルの撹乱要因であるインフレは害悪である,っていうことだと理解しました*3.Friedman大先生は,ワルラス的価格調整メカニズムの信奉者だというわけであります.
「自由主義こそよいのだ!」という主張は,冒頭であまりみられなかったものの,後半になるにつれて病気をこじらせるかのごとく強い口調になってゆきます.いやね,なにが病的か,っていいますと,ものの書き方が,「他人を信頼できません,私のことは私で決めます」という前提に立って,これに粘着的に拘泥しているようなきがしてならないからなのです.何らかの要因で,シグナルが阻害されているんだ,という考察は,非常に賛同できた*4のですけれども,やれ官僚に任せるな,やれ市場メカニズムに委ねよ,やれプログラムを自らの手で選択させよ,というご高説をいただくたび,どうもこの先生,他人をあまり信用しないひとなのでは,という人間不信のケがあるのではと疑ってしまいたくなるのですよ.
もちろん,フリードマン大先生のごとく能力のある方は,自分で決定できるのでしょう.けれど,選択のに直面するときに,情報が与えられていないとしたら? 情報が与えられても,その情報を処理できないとしたら? …とおもいをめぐらせると,行動経済学で指摘されているように「めんどくさいからそのまんまでいいやー」*5ということで,そのひとにとってよいものでなくなるかもしれないですよね.だから,そういう場合は,誰かを頼ってもいいでしょや,と,私などは反論したくなるわけで.
また,もう一点重要なところは,メカニズムを信奉するのはもちろん結構なんだけれど,それを運用するのもまた人間だってことでしょう.いくら優秀な機械でも,操作をミスったり,変なインプットをいれたり,使用法を守らなければ,想定したアウトプットはえられないわけで.「戦略的虚偽表明」だけじゃなくて,過失や誤解もあるし,選択の自由が与えられたことで中央計画者問題のごとき情報処理の不可能性に直面していることだってある,と.このへんはHayek大先生がとうのむかしにご指摘なすったことですね.
だ,もんだから,ポリティカル・コンパスはこんな感じですよ.
予想通りの結果でした.本書をよんで,「基本的に緊張関係を築くのがいいけれど,わからないことについては,ほどほどに頼ろうね,それもフェール・セーフでね」という自身の立場を再認識できたようにおもいます.