政治と秋刀魚
- 作者: ジェラルド・カーティス
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 単行本
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序章を読んだところ,気晴らしにうってつけのエッセイ風だったので図書館で借りてきていたもの*1.というか,タイトルが反則*2ではないでしょうか.しかし読みすすめていくと,なかなかどうしてわが国政治への深い洞察と実地経験に基づく裏話がちりばめられており,興味深く,面白い本であることにきがついてゆきます.同時に,カーティスさんは,アメリカにも基盤があるため,2つの視点から制度を俯瞰していて,アメリカのよいところ,悪いところわが国のよいところ,悪いところをきちんと語っておられるようにかんじました.居乍らにして比較政治分析家というわけですね.羨ましくもあり,素敵なことだとおもいます*3.むしろ「日本にアイデンティティがあるのでは?」と思わせるぐらいの洞察と的確な指摘にびっくりしてしまいました*4.つまりなにがいいたかったかともうしあげますと,『政治と秋刀魚』は面白いエッセイだとおもいました まる*5.
最後に,私がもっとも印象に残った2つの文章を引用させて頂きます.
「どうしても合理的な説明ができなかった場合,『それが日本の文化だ』と逃げる人が結構いるが,社会科学者は安易に文化論を持ち出すべきではない」*6
「ものを書くという作業は,フィクションでもノンフィクションでも,学術論文でさえ,クリエイティヴな創造性を必要とするプロセスである.……論文を書いてみないとどういうデータが欠けているのか分からない.また,書くことによって自分の考え方が整理されてはっきりしてくる」*7.